アメリカでは労働者は平均的に4.4年で転職し、
生涯の転職回数は約10回と言われています。

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フォーブスより

さらに、より専門性の高いプロフェッショナルは
平均的に約3年で転職するとも言われています。

なぜ、アメリカ人はこんなに転職するのでしょうか?
むしろ、なぜこんなに転職して大丈夫なのでしょうか?

それを考える前に、まず、なぜ日本では会社を辞めるのが
悪いこと、と捉えられるのかを考えてみたいと思います。

日本では会社に限らず、ある組織に所属すると、
メンバーはその組織の一員として、思想から生活から
すべてその組織に捧げるべきだ
、という考えが強いです。

そして何をやるのでも各メンバーの考えではなく、
「みんなの考え」で物事を決める必要があるので、

何かを決める時も担当者の権限はかなり小さく、
すべてみんなで「検討」してから、上司に確認をしてから、
稟議が通ってから、という風になります。

そして日本の会社従業員は、会社から命令されたことを
基本的にはなんでもやり、

逆に会社側は従業員をその会社に最適化した
人間になるように育てる、という制度になっています。

そのため、会社側はその会社に特化した仕事、
その会社特有の仕事を極め、長く続けてくれる人を
求めるようになるため、若い人を安く雇って、
長期的にその会社のカラーに染めていく、という人事戦略をとります。

このように、日本ではどの会社も
個人を殺して会社に染まってくれる人、
仕事を会社特有の方法でやるエキスパートになってくれる人、

そんな人を理想としているため、基本的に転職は
悪いことと捉えられます。

これに比べてアメリカのキャリアの考え方は以下のような
特徴があります。

①大学に入る時点である程度将来の仕事の方向性を決める。

まあ、厳密にいうと日本でも、ちゃんと考えて専門学校にいったり、
最初から職人の道を選んだりする人もいます。

でも高校卒業時点でとりあえず、受かった大学の中で
もっとも偏差値が高い学校に行くのが一般的ですね。

学びたい内容はそれほど考えず、
「文学部よりかは経済学部の方が就職有利かな」
くらいの感覚で進学先を決めますね。

これに対しアメリカでは、大学に出願する時点、
または入学する時点、遅くても専攻分野を決める時点で
ある程度自分のキャリアの方向性を決めます。

そして、就職する際には多くの人が、
自分の専攻分野に関連した道に進みます。



そして次の特徴ですが、

②アメリカには日本のようなシューカツがない。

アメリカでは日本のようなシューカツはありません。

どのように就職をするのかというと、中途での転職の
人たちと同じマーケットで戦います。

企業側は一括大量採用はせずに、
空いてしまったポジションや、
新しく必要なポジションなどの枠がある際に、

そのポジションを埋めることができる人、
必要な仕事ができる能力がある人を採用します。

ですので、新卒の求職者も、大学までで勉強してきた専門性や、
プレゼン能力やスキルなど、

企業に対して自分が売れるもの、与えられるものを
真剣に考えてスキルのポートフォリを作ります。

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(governing.comより)

当然、若い人や、大学を出たばかりで仕事経験の少ない人は
スキルや能力が低いので、上記のグラフのように
24歳以下の人(黒い線)は25歳以上の人(青い線)に比べて
圧倒的に失業率が高いです。

でも、そんなことを嘆いていても始まりません。

インターンシップから潜り込むなり、
できる限り自分の専攻を生かせる職種にアプローチするなど、
なんとか最初のキャリアを踏み出さないといけないわけです。

逆にそのポジションについてしまえば、
年齢に関係なく、勤続年数もそれほど関係なく
同程度の給料を稼ぐことができます。

ですので、アメリカでは大学を出たばかりでも
職種がよければ年収800万円程度の仕事をする人も
珍しくはありません。

ちなみに僕の日本人の友人(ゆうさん)でアメリカの
アマゾン本社で働いている人がいますが、
『海外就職攻略の教科書』の中でポートフォリオのまとめ方、
アピールの仕方などを実体験に基づいて解説しています。

参考

『海外就職攻略の教科書』の詳細を確認する。※ アフィリエイトではありません!

③会社と従業員は業務内容に関しての契約をする。

新卒にせよ中途にせよ、採用されると
そのポジションで求められる仕事をします。

従業員はジョブ・ディスクリプションと呼ばれる
仕事内容と責任の範囲が定められた契約を基に仕事をするため、
自分の仕事以外の仕事をする必要がありません。

女性だからとか、新卒だから、とかいう意味の分からない理由で
お客さんにお茶を出す必要がないわけです。

自分の仕事に関しては、自分で意思決定をすることができ、
何かを決める場合でもいちいち上司の許可を取らなくて良いのです。

会社側の考えとしても、
従業員を育てて会社のために働く人間にしていく、
というものではなく、
必要な仕事の枠を埋めてくれるスキルを持った人材を雇う、
ということです。

そのため、
職務内容が思ったよりも自分に合わなかった場合や
今の仕事よりステップアップできる仕事がある場合など、
普通にみんな転職していくわけです。

会社側もその職務の仕事をやってくれる人がいればいいわけですから、
また新しく求人を出すだけです。

「職務内容が合わなかったら困るじゃないか!」

という声も聞こえてきそうですが、

例えば知り合いのアメリカ人で心理学専門の人などは、

初めはカウンセラーとして就職したのですが、合わなかったため、
うつ病の薬を開発している会社のリサーチ部門に転職していました。

そういうわけでアメリカでは本当の意味でキャリアは自己責任に
なっていますし、逆に、求められる仕事ができる以上、
しっかりと仕事をしてそれに見合う対価を受け取ることができるわけです。

このようなダイナミズムがあるからこそ、
プロフェッショナルは3年でキャリアアップの転職をしていくことが
できるのです。

日本でも最近は職種採用とか、新しい働き方とか何とか言っていますが、
本質的なところでの年齢差別、男女差別は全く無くなっていませんし、
とにかく上司の言う事を素直に聞く会社人間を育てようという魂胆を
持った会社がまだまだ多いのです。

この状況のままでは、いつまでも日本が世界から取り残された状態は
変わらないと思いますし、ますます取り残されていってしまうと思います。

ピーター・ドラッカーも

「日本の若い世代の人たちには、20代から遅くとも30代前半のうち2〜3年は日本を離れて、他国で働く経験を積むことをお勧めしたいと思います。」
ドラッカー最後の言葉 (講談社BIZ)

と言っている通り、もっと多くの日本人のみなさんに是非、
どんどんアメリカやその他の国で活躍してもらって、
世界基準の働き方を日本に逆輸入していければいいな、と思います。



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